僕たちと駐在さんの700日間戦争の凄さ[書評]

こんにちは溝口です。
世の中の書物には2つの種類があります。1つは読んだあと思い返してムカつくやつ。もう1つはもっとムカつくやつ。



嘘です。
個人的な2つの種類は、思い返してムカつくやつとニヤニヤできるやつです。
思い返してムカつく本はなにかを批判してるやつ、何かをこれだと断定してるやつですかね。政権についても、人の考え方についてもケチつけてるのは思い返すと嫌な気分になります。
まぁ大半は思い返しませんけれども。



ムカつく奴は、読んでる最中はふむふむと読んでても、読み終わって数ヶ月でもすれば、新しい視点が見つかったり、自分が成長したりして、思い返してみると何言ってんだこいつ...となる本です。




まぁそんなことはさておき、僕たちと駐在さんの700日間戦争は間違いなくニヤニヤできる書籍です。いい本を読んだなぁと。
僕が思う最高のエンターテイメントって、笑って泣ける事だと思うんです。
マーベル映画で言えばシリアスで練られたストーリーラインの端々に入る冗談や、原作者スタンリーがちょい役で出ていることで生まれる緊張と緩和。



漫画で言えば前半のギャグ描写に対してのシリアス展開が対比としてすさまじい、こち亀銀魂の人情話であったり。
ワンピースのギャグとシリアスのギャップであったり。



笑いのツボを刺激してくる作品は泣かすのもうまい。感情をいい意味で弄ばれる感じ。たまりません。
僕たちと駐在さんの700日間戦争は、こうした種類の小説の最高峰と言ってもいいでしょう。大人からこどもまでしっかり楽しめる作品。
素晴らしいエンターテイメントだと思います。



僕が思う、この小説シリーズで一番素晴らしい点は
1ページに1つは笑いどころがあるところ。



ではなく、作者が行なっている、泣ける、笑えるまでの下準備が超周到であることです。
西条というおバカキャラが登場するのですが、どの巻を読んでもあ、こいつはおバカキャラだな。というのが初登場で一瞬でわかるのです。



他にも、緻密なストーリーラインを感じさせない軽い語り口調、こどもが知らない昭和の情報をわかりやすく解説してあったり、登場人物の特徴を初登場でわかりやすく書かれてあったり、

読者へのサービス精神が半端ではない。
すげえの一言です。



いやあ読んでよかった。